Category : 性に狂った女と女に狂わされた男

めかけと家来ができてしまってお家断絶!?

武士は名誉を重んずるものです。主が恥をかけば、かかせた相手を殺したり、自ら切腹したりということもありました。「恥」のもとになった人物が赤の他人ではなく自分の家臣であったり、妻や子、妾(めかけ)である場合も同じです。身内が武士の名折れとなるようなことをすれば、切り捨てるということもあり得ます。主の葬儀で、その妾が家臣と不埒(ふらち)なことをしているところを目にした主の息子が、ふたりを切り捨てるという事件がありました。結局お家断絶という事態にまで発展した大事件です。男と女のいざこざは現代特有のものではありません。数百年前にもありました。

妾と家来が愛をささやき合うのは許せない!と切り倒した男

旗本の朝比奈百介が亡くなった葬儀でのこと。百介の妾(めかけ)と家臣が体を寄せ合い乳繰り合う姿を、桃介の息子の万之助が見とがめます。自分の父親の目を盗んで、その妾といい仲になっていたとは家臣として許されない行いです。主の抱いている女を家臣が寝取ったということは、謀反(むほん)も同然。万之助がしかりつけると、家臣の方は「身に覚えのないこと」とシラを切ります。

カッとなった万之助は刀を抜いて切りつけました。最初に家臣を、次に父の妾を切り倒します。屋敷中が大騒ぎとなり、止めに入った下女二人にも万之助は刃を向けてケガを負わせてしまいました。さらに、義兄にあたる植村仙吉が間に入り制止しようとするのにも襲い掛かって、仙吉を切り倒してしまったのです。怒りにまかせて、罪のない人まで殺してしまいました。しばらくして我に返り、ようやく自分のしてしまったことの重大さに気がついた万之助は、自らの腹を切り、その場で自害してしまいます。

御家の恥を隠そうとしたばかりに、お家断絶に!?

こうした「乱心者」の話は、外聞がすこぶる悪いもの。本家に知らせると、「病死したことにして、養子をもらい後を継がせよう」という話になりました。しかし、こうした大事件はすぐに外に漏れてしまいます。事実は藩主の知るところとなり、隠ぺい工作をした者全員が処罰を受ける羽目になりました。一族は石高を没収され、その身は幽閉されてしまいます。万之助が妾や家臣、さらには義兄をも殺害したカドでお家つぶしになったのではなく、事実を藩主に隠したことが問題となったのです。

現代でいえば、コンプライアンス違反ということになるでしょう。妾の浮気に端を発した事件は、お家断絶という結末にまで至ってしまいました。 江戸時代にも、男と女がいれば浮気や痴情のもつれがありました。「武士はきまじめ」というイメージがありますが、セックスの面では、現代人と同様に不埒な世界もあったのです。

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