Category : 江戸時代にもいた淫乱な女たち

南総里見八犬伝はイヌとしてしまった姫の物語!?

南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)は、江戸時代に著された文学の中でも、もっとも有名な作品のひとつでしょう。江戸時代のベストセラーであり、最近もアニメやゲームの原作として使われているために、若い世代にもよく知られています。仁義礼智忠信孝悌(じん、ぎ、れい、ち、ちゅう、しん、こう、てい)という8つの玉をご存じの方も多いことでしょう。

作者は曲亭馬琴(滝沢馬琴:きょくてい ばきん、たきざわ ばきん)で、江戸時代の後期、1814年に1巻目が刊行されました。馬琴が48才から75才まで27年かけて完成させた全98巻の超大作です。高齢となった馬琴は目が不自由になり、息子の未亡人であった「お路」に色んな意味で世話になりながら書き上げたとされています。南総里見八犬伝にどことなくエロチックな雰囲気も漂うのは、美しい「嫁」との間のなまめかしい恋慕が反映されているからなのかも知れません。 わが国の伝奇文学の中でも燦然(さんぜん)と輝くこの作品ですが、なんと「獣姦」を描いたとも噂されます。お姫様が「処女」なのに懐妊したというのが、どうも怪しいのです。

姫様は貞操を守りたかった!?

時は室町時代、15世紀のことです。南総(今の千葉県南部)の里見家は、隣国から攻められて危機に瀕します。そこで、里見家の当主・義実は飼い犬の「八房」(やつふさ)に、「敵の首をとってきたら娘の伏姫(ふせひめ)をやる」と約束しました。美しい美女を我がものにできると発奮した八房は、見事に敵をやっつけます。首を持ち帰ったイヌの八房に、里見義実は娘を差し出しました。

夫婦となった伏姫と八房はふたりで山にこもります。いくらなんでも、姫様はイヌとはセックスできません。毎日毎日、経典を読み上げ煩悩(ぼんのう)をはらう日々を送りました。年頃の姫はセックスに興味もあったでしょうけれど、初体験の相手が「イヌ」ではかっこ悪過ぎます。

姫様の不思議なご懐妊とは!?

伏姫と八房は交わっていないにも関わらず、姫は妊娠してしまいました。これが、南総里見八犬伝の「謎」であり、エロチックな側面です。やってもいないのに妊娠するはずがない、と誰もが思うでしょう。江戸の春画には伏姫と八房の性交場面が数多く描かれています。いわゆる後背位(ドッグスタイル)のものもあれば、正常位のものもあります。皆が当たり前の想像をしたのです。

現代の人々は、単なる怪奇な物語として読むだけかも知れませんが、昔の人々は人間の女と動物とのセックスを妄想して、エロを楽しんでいたのでしょう。欧米では獣姦は昔からありましたが、わが国ではそうした習慣はほぼなかったと言われています。それでも、想像の上では、ワクワクしたのでしょう。

ふらちな妊娠は「神」でごまかした!?

妊娠のメカニズムが明らかでなかった時代には、しばしば、「処女なのにできちゃった」ということがありました。色んな男性と遊んでしまった女性が、「言い訳」しただけなのでしょう。たとえば、世界遺産である古都京都の文化財のひとつであり、上賀茂神社としても知られる賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)には、「処女懐胎」の神話があります。

加茂川で素っ裸で遊んでいた玉依日売(たまよりひめ)が、拾ってきた矢を床に置いたところ懐妊してしまったというのです。恐らく「矢」というのは、男根の象徴なのでしょう。姫様は、川で「いけない遊び」をしてしまったのです。 南総里見八犬伝で、伏姫は8人もの子どもを生んでしまいました。さぞかし遊び好きの姫様であったに違いありません。

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